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里山エッセイ



三つの宝

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芥川龍之介の残した本の中で、最も美しいと思うのは、改造社版の童話集『三つの宝』だ。

龍之介の死の翌年、昭和3年の発行である。「白」や「蜘蛛の糸」、「魔術」、「杜子春」など6つの短編童話からなっている。

小穴隆一の挿絵も素敵で、この本自体が美しい宝物のように思える。

表題となった「三つの宝」は、一飛びに千里飛ぶ長靴、着れば姿の隠れるマント、鉄でもまっ二つに切れる剣、の三つの宝をめぐるお話だ。

盗人にだまされたのも知らず、三つの宝を手に入れたと思い込んだ王子は、それらのガラクタを身に付けて王女を救いに向かう。

本物の三つの宝を持っている王が、美しい王女を自分のものにしようとしていたのだ。

王と王子の戦いは、当然のように王の勝利に終わる。しかし、王女の心が王子に向いているのを知った王は、二人を祝福し、いさぎよく三つの宝を王子にゆずる。

無敵の三つの宝をもっていても、人の心を奪うことはできなかったのだ。

この童話を読んでいると、圧倒的な兵力でイラクに攻めこみ、自分たちの主義主張に変えることができると過信したアメリカの姿が浮かんでくる。

また、金で買えないものはないと言ったホリエモンのことが思い出される。

自家用ジェットとコンピューター、巨万の富という三つの宝を手にした現代の王であったが、いともたやすくつまずいてしまった。

武力と金をもってしても人の心をそう簡単に変えたり、買うことはできないのだ。

王女と王子を祝福した王のいさぎよさから学ぶことは多いのではないだろうか。

「杜子春」の中で、仙人になろうとした杜子春は、ムチ打たれる母親の健気な心にふれ、自ら戒めを破ってしまう。

胸を打たれる印象的な結末だ。

桃の花が一面に咲きそろう季節。あたりまえのように巡ってくる自然の循環。

その中にささやかな幸いを見つけ出すことの大切さを感じさせてくれる。

建築家  野口政司  徳島新聞夕刊 3月2日付より


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