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里山エッセイ



幻のピアノ

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フィレンツェのクリストフォリがピアノの原型を生み出してもうすぐ300年。
ピアノはなくてはならない楽器となり、人の心をとらえて離さない。
 
現在、世界の音楽ホールで開かれるコンサートで、
使用されるピアノの90%がスタインウェイだという。
1000人を超えるような大ホールでは、
きらびやかな音でよく響くスタインウェイが好まれているのだろう。

 
 
スタインウェイと並んで、名器として名高いのがベーゼンドルファーとベヒシュタイン。
それぞれオーストリアとドイツのピアノである。
 
ベーゼンドルファーは、ウィーンの古き良き時代を今に伝えるサロンコンサートピアノで、
低音のよく響くその深い味わいは本当に魅力的だ。
徳島では文理大学のむらさきホールと羽ノ浦町のコスモホールで聴くことができる。
 
ベヒシュタインは、印象派のドビュッシーの曲がよく似合うピアノで、
澄んだ高音の鈴のような美しさが特徴である。
フジコ・ヘミングさんが愛用していることでも知られる。
 
 
世界三大ピアノと呼ばれる三つのピアノ。
それらより優れたものを、とピアノ発祥の地イタリアで近年造られるようになったのが
ファツィオーリである。
ピアノのフェラーリとも呼ばれていて、
その美しい姿かたちと匂いたつような音色は息を飲む程である。
 
それらに並ぶのが、ドイツバイロイトのシュタイングレーバーである。
月に十数台程しか造られていないので日本にもほんの少ししか入ってこない。
しかし国際的なピアノのコンテストで、
他の著名なピアノを差しおいて何度も優勝しているのである。
伝統的なピアノの魅力を残しながら、明るくさわやかなその響きはとても印象的である。
 
このピアノを日本に輸入しているヨシカワピアノカンパニーの吉川社長は、
ドイツでシュタイングレーバーに出会った時のことを次のように振り返る。
 
ウド・シュミット五代目当主から、
「このピアノの素晴らしさに気がつく日本人はどんな人かと思っていましたが、
あなたがその人だったのですね」と。
 
以来20年以上にわたってシュタイングレーバーを日本に紹介してきた。
しかし、今年の1月、急な病により吉川さんは60歳で亡くなってしまった。
主を失い店も3月末で閉じられた。
 
手造りの良さを生かして、身体障害者用ピアノやアレルギー患者のために
医師が認めた部材だけで組みたてたりと、
人を大切にしたピアノ造りで知られるシュタイングレーバー。
 
“幻のピアノ”として日本になじみのないまま、
忘れられてしまうとしたら本当に惜しい。
 
 
 
建築家 野口政司   2009年 4月 27日(月) 徳島新聞夕刊 「ぞめき」より


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