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里山エッセイ



つみきのいえ

つみきのいえ.jpg
 
 
 
水面がだんだん高くなって、ある朝目覚めるとベッドの足が水に浸かっていた。
老人はその家の屋根の上にレンガを積んでもうひとつ家をつくろうとする。
ちょうどつみきを積み重ねるように・・・。
 
 
アニメーション作家、加藤久仁生さんの『つみきのいえ』は、
地球温暖化を招いた人間の愚かさへのいましめのようでもある。
しかしそんな環境の中でも生き続けようする人への温かいまなざしが感じられ、
とても印象的な作品である。
アカデミー賞短編アニメ賞やフランスの国際アニメーション映画祭の最高賞など
数多くの受賞に輝いたのもうなずける。
 
人は思い出の上に生きている。
思い出をひとつひとつ積み重ねていくのが人生であり、
その思い出といっしょに住むことができるのがほんとうの家ではないだろうか。
そんなメッセージを私は『つみきのいえ』から受け取ったのであった。
 

 
さて、私は建築の設計をしているので、
依頼者の人生の大事な場面に立ち合い、そのお手伝いをすることが多い。
例えば、新婚夫妻の新居を設計したり、
子育てを終え定年退職した夫婦のための家づくりを手伝ったりといったふうである。
 
 
つい最近にも、淡路島の古民家の再生の仕事を手がけた。
明治初期に建てられたその家の母屋は、阪神大震災で少し傷んではいたが、
それでもしっかりとしたものであった。
 
江戸中期に造られた庭があり、座敷から眺められる。
その庭を毎日手入れしているおばあちゃん、
その家を守り住み続けようとする建主ご夫妻、
そしてそれを受け継いでいこうと決心された子どもさんたち、
みんなの思いが重なってその家が再生されることになった。
 
日本の民家は、一般的にお客さんを中心に建てられていることが多い。
北側の台所と食堂に天窓から光を落とし、
お客さん用の座敷からしか見えなかった庭を
居間や茶ノ間からも眺められるように改修した。
そしてそれまでつかわれていなかった天井裏は、
子どもさんのシアタールームに生まれかわった。
 
 
築140年の民家がこのようにして再生され、新しいスタートをきった。
建築家としての役割はひと区切りついたが、
この家はこれからも長く住み継がれていくことであろう。
 
人は生きているかぎり家をつくりつづける。思い出をひとつひとつ積み重ねながら。
 
 
 
建築家 野口政司   2009年 5月 15日(金) 徳島新聞夕刊 「ぞめき」より


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