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里山エッセイ



本をもって町に出よう

 
 
  「人は家の中にいるために家をつくる。そして、人は家から出るために、
   同じように家から出てきた人たちと会うために、都市をつくる」
                             (オルテガ・イ・ガゼット)
 
人と人との出会いの場としての都市の魅力が失われてきているように思う。
その魅力を取り戻すことが「都市の再生」とか「中心市街地活性化」なのであろう。
 
かつて寺山修司は「書を捨てよ、町に出よ」と言った。
未知のものに出会い、ぶつかり、たとえ傷つくことがあったとしても、
きっと本を読んでじっとしているよりも面白い人生になるんだよと
私は勝手に解釈していた。

 
 
子どものころから、町といえばそれは東新町のことであった。
そこに行けば丸新百貨店があり、珍しい商品をそろえた専門店が並んでいた。
そして封切りされたばかりの映画を上映する映画館がいくつもあった。
確かにその町は未知の世界とつながり、
私たちの胸をドキドキワクワクさせてくれるのであった。
 
しかし、やがてその町から百貨店も映画館も無くなり、そして人通りもまばらになった。
あのいっぱいの人たちはどこへ行ってしまったのだろう。
 
今では、家のテレビで好きなだけ映画を見ることができるし、
ネットショップで世界中から買い物もできるようになった。
かつて町でしかできなかったことが、家の中に居ながら簡単にできてしまう。
人は捨てるべき書もなく、町にも出なくなり、
ただテレビとパソコンに向かいあっているだけのように思える。
 
 
 
私は、町はそこに住む人たちの顔のようなものだと思う。
絵に描いたような美形を求めても空しい。
むしろ他にはない自分たちのもつ個性を大切にしたい。
そう考えると、私たちの住む徳島は自然環境にも恵まれ、空気も水もおいしくて、
なかなか男まえのようにも思えるのだ。
 
県庁の前にヨットハーバーがあるなんて、おそらく日本では徳島だけだろう。
その気になったら頂上まで登れる山が目の前にあり、
その下を公園のように美しい川が流れている。
風景のじゃまをしている看板を整理し、
電柱と電線を地中化するだけでもかなりすっきりした町になる。
 
 
物質的な豊かさを追い求めることから、
人との交流や生活の質を大切にすることへと時代は大きく変わろうとしている。
物にあふれた家からみんなで町に出よう。手にはお気に入りの本をもって。
これまで気がつかなかったこの町の魅力が見えてくる、
いやあなた自身がこの町の魅力であることに気がつくことであろう。
 
 
 
 
建築家 野口政司   2009年 10月 02日(金) 徳島新聞夕刊 「ぞめき」より


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