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里山エッセイ



節分を過ぎると

キビタキ.jpg

                           photo by TAKESHI MIYAKE
 
 
 
ある朝、夜半の雨が止んで、空気が柔らに感じられて窓をあけると、
霞を刷いた山々が墨絵のようだった。
手前の雑木林は枝々に春の芽吹きを貯えている。
節分を過ぎると足早に春の足音。
春待つ今の、この湿り気とかすかな匂いは格別である。
 
 
この季節必ず思い出す一冊の本、海洋生物学者レーチェル・カーソン「沈黙の春」。
いきなり第1章明日のための寓話で語られる地球の現実は衝撃的である。
 
  「自然は沈黙した。鳥たちはどこへ行ってしまったのか。
   みんな不思議に思い、不吉な予感におびえた。
   春が来たが沈黙の春だった。
   農家では鶏が卵を生んだがひなは孵らず、
   りんごの木は溢れるばかり花をつけたが、
   耳をすましてもミツバチの羽音もせず・・・。」
 
そして 「すべては、人間がみずから招いた禍いだった。」 と結ばれる。

 
 
 
私がこの本に出会ったのは今から半世紀近くも前1964年のことである。
右肩上がりの経済成長の時代で、
「使い捨て」などという言葉が平気で闊歩していた。
使って捨てて物を動かすことが経済貢献と本気で思っていた。
何と罰当たりのことだったろう。
読んで衝撃を受け、知らぬ存ぜぬは許されないと
あらゆる環境問題に関心を持つようになった。
 
 
この本は農薬や化学薬品の乱用が自然のバランスを崩し、
自然の機能を失わせていくことへの警鐘だったが、
この半世紀に地球は激変した。
気候変動を目の当たりにし、
地球温暖化を実感し「寓話」は「実話」になろうとしている。
そしてカーソンの予言は、生物多様性の喪失という現実につながっている。
 
持続可能な21世紀のキーワードは生物多様性の保全であると言われ、
今年10月の生物多様性条約締約国会議(COP10)に向けて
徳島でも市民が声を上げ始めた。私の周りで関連のことばが踊る。
 
生物多様性とは 「命の条約・いきもののにぎわい・
生きものたちの豊かな個性とつながり・種の保存・・・」とさまざまなことばの装いで。
私流には「地球上の森羅万象みなひとしなみ」と訳してみる。
 
 
 
徳島で生物多様性問題に取り組む人たちの輪を広げようとしている。
沈黙の春ならぬ花咲き鳥歌うにぎわいの春を願って。
 
 
 
 
 
里山の風景をつくる会 理事 
地球温暖化を考える-市民アクション2009-徳島代表  八木正江
2010年 2月 5日(金) 徳島新聞夕刊 「ぞめき」より


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