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里山エッセイ



思いの至りて

 
 
再び忘れ得ぬ日が来た。
 
2010年3月23日、大地を潤す春の雨がお堰の上にも降っていた。
「可動堰はあり得ない。」
「現堰はどうすれば保存できるか調査にかかる。」
と断言した前原大臣の声をお堰はどんな思いで聞いたろう。
 
「えっへん、どうだ。258年経っても無事に働いているぞ」。
魚道を走る水音と、さわさわ透過水の音も聞こえて、
堂々と横たわる斜め堰の声が聞こえた。

 
 
 
3月26日間髪を入れず前原大臣は明言した。
「可動堰は作らず、現在ある第十堰を残すことを前提で
吉野川の治水対策を検討して欲しいと河川局に指示した」と。
住民の意見が反映される委員会の設置にも言及している。
すでに策定された河川整備計画に果たして楔は打ちこまれるのだろうか。   
 
 
長かった。長かったと思う。
反対の意思を示した10年前のあの日のように、思い切り万歳!と叫べなくて、
こんなに嬉しい知らせはないのに涙がこぼれた。
果てしない絶望ともしやの期待と、住民の吉野川への思いは翻弄され続けた。
澱みに浮かぶうたかたのようにかつ消えかつ結びて留まることのなかった10年。
けれど決して譲れない意思が私たちを支え続けた。
思いは必ず実る、大事な堰は壊せない、コンクリ-トのお化けはいらない、
未来に貸しは作れない。
 
ひたすらに歩き続けた10年が過ぎて、この日が来た。
 
 
この10年間の活動をあらためて思う。
森と川をつなぎ、川上と川下の人たちをつなぐ活動が生まれた。
緑のダム構想を作った、干潟の生きものを観察し続けた。
ラムサール湿地条約の登録リストに入るかもしれないと嬉しい期待もある。
野鳥の四季を追い続ける人たちやシカの食害に取り組む人たちがいる。
吉野川の恵みを育てる農業の活動も広がっている。
 
「これから これから これからこそが本番!」堰がつぶやく。
川が戻ってくる本番の日々が始まる。
「これでやっと川といっしょに暮らしていけるんや!」
思わず叫んだ知人の、満面の笑みが嬉しい。
 
愛しい吉野川よ。
10年の思い至りてなお、思いは尽きない。      
 
 
 
追記 4月11日(日) 夜7時半より前原大臣会見報告会が開かれる。
文化センタ- 2号室にて。
 
私たちの声が国に届いた瞬間が再現されるだろう。
 
 
 
 
 
里山の風景をつくる会 理事 
地球温暖化を考える-市民アクション2010-徳島代表  八木正江
2010年 4月 6日(火) 徳島新聞夕刊 「ぞめき」より


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