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里山エッセイ



知らない間に

最近姿を見せなくなったコオロギにスズムシ。
それでも秋近く、夜はにぎやかに虫の声。
秋の終わりには、ちちよちちよとはかなげになく虫たちも
今はわが世を謳歌する。


夏の終わりに毎年開いている大学の県人同窓会。
卒業者は、最近では企業等へも就職するようになったが、
つい先頃まで殆どの人たちが郷里に帰り、
徳島県の教育会に座を占めた。
毎回卒業後各人が歩いた、また歩きつつある体験を語り合うことにしているが、
それぞれ生きた時代の歴史を語っていて、
お互いにとって十分の刺激となり、背筋が伸びるよすがとなっている。
かくしゃくの先輩たちから肝に銘じて教えられる事も多い。


昭和20年女学校を卒業して大学に入学、
その夏に敗戦を迎えた先輩がかみしめるように語ってくれた。
8月の終わり頃だったか、親しい友人と、
奈良公園の馬酔木の木陰に休んでいた。
2人はやっと平和で穏やかな日々が訪れたことを喜んだ。
とその時、通りがかった一人の中年の女性が鋭く問いかけてきた。
「戦争は終っていない、夢を新天地に求めた満蒙開拓団の少年たちは
ちょうどあなたたちと同年齢、彼らの今を知っているか、
未だ彼の地に過酷な戦いを続けている現実を知っているか」と。


学びやの中で平和を待っているだけではいけない、
知らなければならない事実があることにはたと気づいた瞬間だった。
それからは自分を取り巻く社会の真実を
知りぬくことに努めて今日に至っているという。


敗戦の年、ひもじい思いの他は
戦争について何も知らなかった自分に振り替えて思う。
戦後の復興、再軍備、安保条約、憲法改定への動き・・・
知らない間に憂えるべき今になってしまった。
国の根幹を揺るがす重大な事態の情報は、
一つ一つ進んで知ろうとしなければ
時代の大勢につながってしまうのではないか。


知るは識るに通じ、自らが知り自らが判断することでもある。
知らぬは地獄とならぬよう心せねばならない。

                  
                          
                         

八木正江

里山の風景をつくる会 理事 
地球温暖化を考える-市民アクション2011-徳島代表  

2011年9月13日(土) 徳島新聞夕刊 「ぞめき」より


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