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里山エッセイ



初音

初音の笛の音が聞こえる。
あれは竹笛だった。
雪が深々と降る大晦日、
元日に日付が変わると初音売りが、
リヤカーを引いてやってきた。
はつねぇ はつねぇ・・・
新しい年の響きだった。
その声を聞くや、
家々から子どもたちが飛び出して
おめでとう、おめでとう。
「初音」と聞けば思い出す。


年賀状を書かなかった。
深い理由はなかったのかもしれないが、
旧年中にどうしても「おめでとう」と書けなかった。
寒中見舞いを出す事にして年が明けた。
元日の朝、日の出は拝めなかったが
東の空の燭光に希望を見た。
昼から晴れて新年を寿ぐように
暖かく初詣に出かけた。
例年初詣は地元の神社と決めている。


上八万町西地に勢山天王神社がある。
佐那河内の山々に向かって右手に小道を行くと、
こんもりと鎮守の森に囲まれてある。
辺り一体はのどかな田園地帯。
古めいた幟がはためいて、
昔から地元田中、西地、一ノ瀬の氏神だと言う。
こま犬や石灯篭に「文化」「弘化」の文字も見え、
神社を囲む大木も歴史の古さを語っている。
日露戦争直前に奉納された石の鳥居、
鳥居をくぐれば小暗い境内、
57段の石段を登る。
本堂には新しい注連縄が飾られ、
掃き清められた境内は静かである。
と、大木の木末(こずれ)に高く鳥の声、
初音だ。


道を左に手折ると、
園瀬川にかかる西地橋のたもとに、
馬頭観世音と記された碑がある。
道行く人と道行く馬の無事を祈った馬頭観音、
自然石の石碑を背に6体の小さな観音像。
賽銭が上げられ、しきびや花の切れる事がない。


橋の下を流れる園瀬川は、
きらきらと冬の空を映して光り、
川原に降り立つしらさぎの白さがまぶしい。
遠近に鳥の声、
ふつふつと水の子どもが沸き立つ
園瀬川の源流旭丸。
森から初音が聞こえてくる。
私たちが忘れかけている
大切な何かがあるのではないか。


「天地のしじまに初音 園瀬川」。
復興元年が始まる。
  
  
  


                                  八木正江

                        里山の風景をつくる会 理事 
       地球温暖化を考える-市民アクション2012-徳島代表  

         2012年1月18日(水) 徳島新聞夕刊 「ぞめき」より


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