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里山エッセイ



 いつまでも

ジャスミンのつるがどこまでも伸び、
高い木のてっぺんからも
淡いピンクの花がこぼれています。
その可憐さは、
数ある5月の麗しい花々に
引けを取りません。
黄金色に光るカナブンがやってきて
花から花へと飛び廻り、
密を吸い続けています。


五月。
空は晴れ、
燃え出る若葉の芳香に
むせ返る季節です。
体の芯を真っすぐに
立ち昇っていく生気、
いつまでもと祈ります。


スズメの姿がめっきり少なくなり、
6割減と新聞に報じられていました。

「雀雀 お宿はどこだ 
チチチ チチチこちらでござる」
そんな情緒はどこへやら、
昔の話になりました。

「我と来て 遊べや 親のない雀」
「雀の子 そこのけ そこのけお馬が通る」
一茶も俳句を作れません。


ツバメは巣作りする家も見当たらず、
どこに幸せを運んでいいかわかりません。
早苗の田を飛ぶ姿もなく、
電線に音符さながら並んでいた光景も
見られなくなりました。
草叢から一直線に舞い上がる
ひばりの姿も幻となりました。
何気ない風景がなくなっていきます。


今目立つのはキジバトとカラスです。
真っ黒のカラスは意外に大きく、
私が通るとしわがれ声で、
何しよん? 何しよん?
と問いかけるようです。
余りに世の中、
心配な事ばかりが続くから、
どうにかしたいと心を痛め、
毎日がんばっているのよ、
と答えてみます。


豊かな風景は豊かな情緒と、
情緒を語る美しい言葉を
生み出します。
歳時記はその代表でした。
コンクリ-トの橋や道や護岸は
何も語らず寂しい限りです。


書きとどめていくことの大切さと、
楽しさと、期待感を持ち続けたこの3年間に、
何とたくさんの事があったことでしょう。
悔やみきれない原発の事故からは、
自分たちの生き方そのものに
メスを入れられました。
生きている限り
この責任を問い続けたいと思います。


お読み頂いた方々に
心よりお礼を申し上げます。

 
 
 
                                      八木正江
 
                            里山の風景をつくる会 理事 
          地球温暖化を考える-市民アクション2012-徳島代表  

             2012年 5月23日(水) 徳島新聞夕刊 「ぞめき」より


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〒770-8055
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